巨赤芽球性貧血と悪性貧血
巨赤芽球性貧血は核酸合成の異常によって起こり、核酸の合成に関
するビタミンB12や葉酸の欠乏が主な原因です。したがって、悪
性貧血のほか栄養障害や腸管吸収障害でもみられます。巨赤芽球性
貧血のうち、ビタミンB12の欠乏による貧血をとくに悪性貧血と
いいます。
悪性貧血の原因
1)ビタミンB12(外因子)と結合してB12の吸収を助ける内
因子(トランスコバラミン)の欠乏
2)内因子に対する自己抗体がある場合
3)胃の壁細胞に対する抗体(抗胃壁細胞抗体)がある場合
4)内因子とB12の結合物に対する抗体が存在するとき
5)胃全摘術後
悪性貧血の臨床症状
通常の貧血症状のほか脊髄後索を中心とした脱髄性病変のため、手
足のしびれなどが現れます。さらに舌乳頭の萎縮によるハンター
(Hunter)舌炎や出血傾向も出現します。また細胞診では膣スメア
中に異常核を有する細胞が出現し、悪性細胞と誤診することがある
ので要注意です。
悪性貧血の検査
血液検査:抹消血に大型で高色素性の赤血球・白血球好中球の過分
葉。骨髄に大型の赤芽球
生化学検査:溶血による間接ビリルビンの増加・ハプトグロビンの
減少・LDHの増加・血清Fe増加
確定診断:血清中のビタミンB12・抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗
体の測定