赤血球像・赤血球所見
末梢血液塗沫標本により、赤血球の大きさ、形態、染色性、封入物
などを観察する検査です。各種貧血や、髄外造血などの血液疾患、
寄生虫の有無などを評価できます。
赤血球数やヘマトクリット、ヘモグロビン濃度から赤血球恒数が算
出されますが、あくまで平均値であり、大小不同や形態異常はわか
りません。実際に検鏡することで、具体的な病態に迫ることができ
ます。
たとえば赤血球が破壊される病態では、破砕赤血球がよくみられま
す。高度の貧血では赤血球の大小不同がみられ、赤芽球が末血に出
現します。赤血球の膜異常ではウニのような形態異常が、球状赤血
球症では中央のくぼみがない特徴的な形態が認められます。鉛中毒
では封入体が、マラリアやフィラリアなど寄生虫疾患では、稀に虫
体が検出される場合もあります。
このように赤血球像は、貧血や多血症が認められた場合、必ず行う
べき基本的な検査と位置付けられます。
検査材料:EDTA加血液 または 塗抹標本
検査方法:目視法(鏡検)
※詳細は赤血球形態異常、赤血球封入体・その他の異常を参照
異常を示す病態
各種貧血症(鉄欠乏性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血など)
奇形赤血球症(球状赤血球、楕円赤血球症など)、肝胆道系疾患
(標的赤血球など)、血液系悪性腫瘍 など