認知症MCIスクリーニング検査におけるMMSE実施について
MMSE(ミニメンタルステート検査:Mini Mental State Examinaition)は、1975年にフォルスタイン夫妻の開発した精神現在症(Mental State)の臨床評価の簡略版です。認知障害を見つけたり、認知障害の重症度を測ったり、経過を追って患者の認知機能の変化を追跡したりするために使用され、認知症の分野では国際的な基準テストとなっています。
日本国内では杉下守弘氏によって、精神状態短時間検査ー日本版(MMSE−J)が作成されています。言語学的妥当性ならびに文化的適応の観点から厳密に作成され、原版との等価性の高い版として国内の認知症研究のスタンダードとして広く用いられています。
・MMSEによる軽度認知障害の鑑別
MMSEは見当識、記憶力、言語的能力、図形的能力などを調べる検査であり、質問は11項目。30点満点で、一般的には24点以上で健常とされます。ADNI研究においては早期発見アルツハイマー病のMMSE得点の基準を20〜26点としています。
軽度認知障害(MCI)は正常加齢と認知症の境界領域であり、MMSEのみでの判別は困難です。米国ADNI研究において健常ならびにMCIのMMSE得点の基準は24〜30点であり、MMSEのみでは健常とMCIの判別は困難であることを示しています。
また、MCIスクリーニング検査においてMMSE得点の低下とバイオマーカーの量との相関が結果が得られています。
・MMSE得点の評価
27〜30点;健常です(MCIであることを否定するものではありません)
24〜26点:境界域です(健常、MCI、早期アルツハイマー病いずれかの可能性があります)
20〜23点:早期アルツハイマー病の疑いがあります