ナルコレプシー診断 反復睡眠潜時検査 MSLT
・反復睡眠潜時検査(MSLT)
1)前夜にPSG施行:6時間以上の夜間睡眠確保
2)6:00〜7:30起床:Nap1開始の1時間〜3時間前
3)8:00 朝食
4)8:30頃より装着準備
5)9:00 Nap1
6)11:00 Nap2
7)12:00 昼食
8)13:00 Nap3
9)15:00 Nap4
10)17:00 Nap5
・実施方法
30分前:喫煙の中止
15分前:過度な運動の中止
10分前:靴を脱ぎ、衣服を暖める
5分前:ベッド上で、電極類を装着しキャリブレーション
45秒前:自覚的な睡眠の程度を評価
30秒前:眠りやすい姿勢をとらせる
5秒前:「静かに横になって、目を閉じてください」などの声をかける
消灯:この時点をその回の測定開始時刻とする
終了:入眠から15分後(入眠しなければ20分後)
・判定
1)消灯から最初の睡眠段階が出現したエポックまでの経過時間を入眠潜時とし5回の平均を算出する。
2)入眠後15分以内に出現したレム睡眠を、入眠期レム睡眠期(sleep onset REM period:SOREMP)とし、その出現回数を確認する。
MLSTの判定基準では、入眠潜時が眠気水準を表し、5回の平均が8分以下の場合に眠気が異常に強いと判定され、さらにSOREMPの出現回数が5回中2回以上ある場合にはナルコレプシーの診断価値が高まります。
補助診断として、保険適応外ですが、ヒト白血球抗原(HLA-haplotype)検査と髄液オレキシン(CSF orexin)検査があります。日本人の「情動発作を伴うナルコレプシー」では、HLA DQB1・0602の陽性率がきわめて高いので、診断補助に有効です。また髄液オレキシンも疾患特異性が高く、正常値下限(110pg/ml)以下であればナルコレプシーの可能性はかなり高くなります。しかし、「情動発作を伴わないナルコレプシー」では、HLA DQB1・0602の陽性率は低く、髄液オレキシンも正常であることが多いため診断時には注意が必要です。
※特発性過眠症
特発性過眠症は、過度の日中の眠気(EDS)に加えて夜間の睡眠時間も長くなる睡眠障害ですが、脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺を伴わない点でナルコレプシーとは区別されます。
診断は消去法により、睡眠ポリグラフ(PSG)が夜間の長時間睡眠を示し、他の睡眠障害の所見を伴わなければ診断的です。MSLTはREM睡眠のない短い睡眠潜時を示します。治療はナルコレプシーと同様に行いますが、抗脱力発作薬は必要としません。