VIP WDHA症候群で上昇する活性ペプチド
VIP (vasoactive intestinal polypeptide)は、1970年、Saidらによりブタ小腸粘膜より抽出された、28個のアミノ酸配列よりなる分子量3326のセクレチンに類似した脳・腸管ペプチドホルモンです。発見された当初は血管拡張や血流増大作用を持つことから、単なる血管活性物質と考えられていました。しかし消化管組織に広く存在し、腸管粘膜細胞にはレセプターが存在していること、また胃酸分泌抑制・腸液分泌刺激作用などホルモン様作用を有していることから、消化管ホルモンとして認識されるようになりました。さらに、神経伝達物質としての機能も解明されています。またVIPは、小腸の水・電解質分泌亢進、血清カルシウムの増加、肝グリコーゲンの分解など多彩な働きが知られる活性ペプチドです。
測定方法:RIA(二抗体法)
検査材料:血漿(EDTA・アプロチニン入り)
基準値:単位(pg/ml)100以下
高値を示す病態:WDHA症候群(VIPoma)
低値を示す病態:低値側の臨床的意義は少ない
※VIPは、プロテアーゼ等により容易に分解される不安定な物質であるため測定には、必ずプロテアーゼ阻害剤(アプロチニン)を添加した血漿を用い、凍結保存が必要です。