セロトニン - 消化管の機能調節や血小板凝集促進作用を持つインドールアミン。カルチノイド症候群の診断に用いられる。

セロトニン

セロトニン(serotonin)は5-hydroxy tryptamine(5-HT)と呼ばれる生理活性アミンです。腸管には体内のセロトニンの約90%以上が存在します。腸管内のセロトニンの大部分はEC細胞に存在しますが、壁内神経のセロトニンも神経伝達物質として重要です。
セロトニンは平滑筋を強く収縮させ、腸管運動を亢進させます。セロトニンの受容体である5-HT受容体は1〜7まで7種類に分類されます。5-HT3受容体はイオンチャンネル型の受容体ですが、その他はGタンパク質共役型の受容体です。5-HT3および5-HT4受容体はいずれも消化管平滑筋を支配するコリン作動神経上にあり、アセチルコリンの遊離を増加させ腸管運動を促進します。

セロトニンの主な作用
1)骨格筋血管を除く血管平滑筋収縮作用  
2)消化管における運動および分泌の調節
3)血小板凝集作用

カルチノイド症候群では必要量をはるかに上回る生成があるため、その診断にセロトニンの測定が有用ですが、血中セロトニンは血小板由来のものが混入するため、尿中のセロトニンあるいはその代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)を測定する方が臨床的に有用です。

検査材料:EDTA加血液
測定方法:HPLC
基準値:単位(ng/ml)53〜200

・高値を示す病態
カルチノイド症候群、ダンピング症候群、片頭痛

・低値を示す病態
錘体外路系疾患、内因性精神病(うつ病、躁病)

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