男性ホルモン:テストステロン
テストステロン(testosterone)は、その大部分が男子では精巣、女子では副腎と卵巣で産生される代表的なアンドロゲンで、男性化作用が最も強いステロイド・ホルモンです。血中ではその97%以上が性ホルモン結合蛋白(SHBG)と結合しており、残りが活性をもつ遊離型です。
生理作用として男性の性的特徴を発現させ、それを維持することにあるため、男性ホルモン活性と精巣機能のマーカーとしては最もすぐれています。
日内変動があるため、採血時間を一定にしておく必要があり、また1点測定では精巣機能を把握しがたい場合があるのでhCG刺激試験やデキサメサゾン抑制試験を行います。テストステロンは、精巣に器質的な不全がある場合はhCG負荷で反応せず、デキサメサゾン負荷で抑制されます。
検査材料:血清
測定方法:RIA(チューブ固相法)
基準値:単位 ng/ml M 2.01〜7.50 F 0.06〜0.86
・高値を示す病態
男子:男性ホルモン産生腫瘍(睾丸および副腎)
女子:卵巣男性化腫瘍、副腎男性化腫瘍、特発性多毛症 など
・低値を示す病態
原発性精巣機能不全症、低ゴナドトロピン性精巣機能不全症、肝硬変、肥満 など
※テストステロンは、一般に30歳ごろから減少しはじめ、年1〜2%の割合で減少します。テストステロンの減少は男性更年期と呼ばれますが、女性の更年期ほどには急激にホルモン分泌は変化せず、身体や精神に与える影響も個人差が大きい。テストステロンの減少率は個人差が大きく、70代になっても、30代の平均値に匹敵するテストステロン値を維持している男性も多いようです。