コルチゾール(cortisol)
コルチゾール(cortisol)は副腎皮質束状層から分泌される分子量362.5の代表的な糖質コルチコイドで、血中では90%以上がコルチコステロイド結合蛋白(CBG)と結合して存在し、5〜10%が遊離型です。通常の一日分泌量は20mg程度であるが、ストレス下では数倍に上昇します。肝でグルクロン酸抱合を受けたコルチゾールは腎から排泄されますが、一部は未代謝体としてそのまま尿中に排泄されます。
コルチゾールの分泌は、ACTHによりコントロールされているため早朝に高く、夕方に低いという日内リズムをもっています。ストレスで敏感に変動するため十分な安静ののちに採血するのが望ましいとされています。
副腎皮質機能低下症やクッシング症候群の診断には、コルチゾール分泌刺激試験としてCRH試験やインスリン低血糖試験などの負荷試験が用いられます。続発性、原発性副腎皮質機能低下症の鑑別にはACTH負荷試験を行い、前者ではコルチゾール分泌の増加をみますが後者ではみられません。妊娠ではCBG増加により高値となり、また各種副腎皮質ホルモン剤の投与で高値となることがあるので病歴を充分に聴取すべきです。
検査材料:EDTA血漿
測定方法:CLEIA
基準値:単位 μg/dl 4.0〜19.3(午前8〜10時)
血中コルチゾール値が異常を呈する病態
・コルチゾール高値でACTH高値
クッシング病、異所性ACTH産生腫瘍、異所性CRH産生腫瘍、糖質コルチコイド不応症、アルコール多飲、うつ病、神経性食思不振症
・コルチゾール高値でACTH低値
副腎腫瘍によるクッシング症候群、コルチゾール投与、
・コルチゾール低値でACTH高値
アジソン病、先天性副腎皮質過形成、ACTH不応症、ネルソン症候群
・コルチゾール低値でACTH低値
下垂体性副腎皮質機能低下症、視床下部性副腎皮質機能低下症、デキサメサゾン投与