偏頭痛で増加、尿中5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA) - セロトニンの代謝物を測る中枢神経ホルモン検査。偏頭痛やカルチノイド症候群の診断に用いられる。

偏頭痛で増加、尿中5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)

5-ハイドロキシインドール酢酸(5-HIAA)は神経伝達物質であるセロトニン(5-ハイドロキシトリプタミン:5-HT)がモノアミンオキシダーゼ(MAO)により代謝された物質です。セロトニンは中枢神経系の情動、知覚、自律機能に関与する一方、末梢組織では血管平滑筋の収縮、血小板凝集、消化管の機能調節などの多様な生理活性を持っており偏頭痛やカルチノイド症候群で増加が認められています。
セロトニンの90%以上は末梢臓器(腸管の腸クロム親和性細胞や血小板)に由来し、中枢神経におけるセロトニンは1〜2%にすぎません。さらに5-HIAAやセロトニンは脳血液関門(BBB)を通過しないため、血液や尿中に出るもののほとんどが末梢由来です。したがって血中、尿中のセロトニンや5-HIAAを測定することにより、消化管のセロトニン産生腫瘍であるカルチノイド症候群の診断が可能です。

一方、髄液中の5-HIAA、セロトニンを測定することにより、中枢のセロトニン作動性ニューロンの動態を推定できますが、精神・神経疾患におけるこれらの変動については未だ不明な点も多いようです。

検査材料:酸性蓄尿
測定方法:HPLC
基準値:単位 mg/day 0.6〜4.1
 
・高値を示す病態
カルチノイド症候群、ダンピング症候群、片頭痛 など

・低値を示す病態
錐体外路疾患、パーキンソン症候群 など

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