TTT(チモール混濁反応)
TTT(チモール混濁反応)およびZTT(亜鉛混濁反応)は主として肝障害を見るための歴史的かつ代表的な血清膠質反応です。
膠質反応とは血清に種々の蛋白変性試薬を加え、混濁や沈殿の生成を測定するもので、主に血清アルブミンの減少とγ-グロブリンの増加を反映して高値をとなります。膠質反応は、各種肝障害時における複数項目の血清蛋白成分の量的、質的異常を迅速簡便に知る方法として現在もなお使用されています。
TTTは蛋白変性試薬としてチモール(thymol)飽和バルビタール緩衝液を用いますが、このチモールはフェノールの誘導体で一つの弱い極性基(-OH)と数個の非極性基(-CH3)を持っており、非極性基の部分がβやγ分画に属するグロブリンと結合し混濁を生じさせます。
また、ZTTは別名Kunkel試験とも呼ばれ、Kunkelが1947年に血清に希薄な硫酸亜鉛(zinc sulfate)バルビタール緩衝液を加え生成する混濁を比濁定量したものです。
TTTは特にγ-グロブリンのIgMとよく相関し、急性肝炎(とりわけA型肝炎)や慢性活動性肝炎、肝硬変で高値を示します。またZTTはIgGおよびIgMとよく相関し、慢性の感染症、炎症、慢性肝炎、肝硬変、多発性骨髄腫などで高値を示します。
本法は日本消化器病学会肝機能研究班の標準法に準ずるものであり、Kunkel単位を採用していますが、他の表現単位との関係は下記の通りです。なお単位はいずれも経験的なものであり係数です。
Kunkel単位(Shank-Hoagland単位)=Maclagan単位×2
検査材料:血清
基準値:単位(U)4.0以下
高値を示す病態
肝疾患、高脂血症、慢性感染症、膠原病、ネフローゼ症候群、多発性骨髄腫
低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ない