特発性間質性肺炎
間質性肺炎は、さまざまな原因から肺胞壁に炎症をおこし、壁が厚く硬くなり(線維化)、呼吸をしてもガス交換ができにくくなる病態をいいます。肺胞壁は保たれていても、肺の小葉を囲んでいる小葉間隔壁や肺を包む胸膜が厚く線維化して肺が膨らむことができなくなります。線維化が進んで肺が硬く縮むと蜂巣病変といわれるような穴(嚢胞)ができ胸部CTで確認されます。
特徴的な症状としては、安静時には感じない呼吸困難感が、歩行中や入浴・排便などの日常生活の動作の中で感じるようになります(労作時呼吸困難)。季節に関係なく痰を伴わない空咳(乾性咳嗽)で悩まされることもあります。長年かけて次第に進行してくるので自覚症状が出るころにはかなり病態が悪化していることが多いのですが、「急性増悪」といって、風邪様症状の後、急激に呼吸困難となって病院に搬送されることもあります。
特発性間質性肺炎の生命予後は悪く、わが国では50%生存期間が約3〜5年と報告されています。中でも最も頻度の高い特発性肺線維症(IPF)の場合、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制剤の併用やピルフェニドンなどの治療選択肢があり、延命効果は明らかではありませんが、病期によっては効果があったとの報告もあります。また、柴胡などの漢方薬で治療効果がみとめられた症例もあります。