シアル化糖鎖抗原 KL-6 間質性肺炎で上昇するマーカー
KL-6は、MUC1上に存在しているシアル化糖鎖抗原の1つです。MUC1はムチンの1種であり上皮細胞系に発現する膜貫通型の糖タンパク質です。
肺胞上皮が冒される間質性肺炎の患者では、血清KL-6が健常者や他の呼吸器系疾患よりも著明に高値を示します。このため従来特異的な血清マーカーに乏しかった間質性肺炎や肺線維症に高い診断的有用性が認められています。さらに活動性の間質性肺炎症例で、非活動性症例に比較して有意に高値を示し、治療開始後も病勢を反映して変動するため、血清KL-6の測定は、肺の線維化を特徴とする病変の鑑別や、間質性肺炎の病勢把握を目的に測定されます。
KL-6は、間質性肺炎と他疾患との鑑別、間質性肺炎の病勢把握(活動性と非活動性の鑑別)、間質性肺炎の治療経過観察に有用な指標と考えられています。
検査材料:血清
測定方法:ECLIA
基準値:単位(U/ml)500未満
・高値を示す病態:間質性肺炎、肺線維症、過敏性肺臓炎
・低値を示す病態:低値側の臨床的意義は少ない
KLの名前の由来は肺癌を意味するドイツ語のKrebs von den Lungenです。1985年に広島大学の河野修興らによりヒト肺腺癌由来細胞株 (VMRC-LCR) をマウスに免疫する事で数種類のモノクローナル抗体が作成され、シアル化糖鎖抗原KL-6はその6番目の抗体によって同定された抗原です。