オーダーメイド治療 遺伝子タイプで薬を選ぶ
オーダーメイド治療とは、遺伝子タイプから個性や体質の違いを予測して行う、個人個人に合った治療の事です。
同じ病気にかかり、同じ薬で治療をしているのに、治療効果が出る人もあれば、全く効果がない人もいます。また、副作用が出る人もいれば、出ない人もいます。このような個人差は、時に生命に関わる問題にもなります。その原因は、これまで「体質」だと説明されてきましたが、近年では「DNA配列の違い」と考えられるようになってきました。
薬を使用する前に、その人のDNA配列を調べて、最も効果が高く、副作用の少ない薬を選びために役立てることがオーダーメイド治療です。特に癌の治療薬は副作用が強いものが多いので、オーダーメイド治療で、一人ひとりに適した薬を選べば、体への負担を軽減することができます。
薬が効くメカニズム
内服・注射・座薬など、さまざまな方法で体内に取り込まれた薬は、吸収・分布・代謝・排泄されます。多くの場合、体内に入った薬は消化管や血管に入り、吸収されることにより、薬の作用する組織に運ばれます。これを分布と呼び、薬物トランスポーターと呼ばれるタンパク質の働きにより、細胞の入口にある受容体やイオンチャネルなどを介して細胞内に移動し、その作用を発揮します。その後、薬は肝臓の肝細胞などに運ばれ、薬物代謝酵素によって代謝されたのち、腎臓の尿細管上皮細胞へ運ばれ、体外に排泄されます。
遺伝子タイプを調べる方法のひとつにDNAマイクロアレイを使う方法があります。DNAマイクロアレイはDNAチップとも呼ばれ、塩基配列が分かっているDNAの断片をプラスチックやガラス板に多数貼り付けたものです。これに採血で得られた被験者のDNAを反応させることで、遺伝子配列・遺伝子タイプを調べることができます。
薬物代謝・トランスポーター遺伝子解析用マイクロアレイ(DMET)は、薬物トランスポーターや薬物代謝酵素などに関係する225遺伝子上の1,936個の薬物代謝マーカーを一度に解析することができるDNAマイクロアレイです。薬の種類や投与量など、治療法の選択に役立ちます。