豚インフルエンザって?感染したらどうなるの?
ニュースで話題のメキシコで発生した豚インフルエンザは、人から人へと感染被害が拡大しており、新型インフルエンザの発生に備えていた国内にも衝撃を与えています。専門家や厚生労働省では「注意深く情報を集めて」「冷静な対応をお願い」と呼びかけています。
近年、東南アジアなどで、鳥ウイルスが人に感染したという報告が相次いでいたため、人に影響を与える新型インフルエンザは、鳥が持つウイルスが変容することで発生する可能性が高いとみられていました。しかし、インフルエンザウイルスは鳥以外にも多く存在し、次々と変異を繰り返しています。いつ、どのウイルスが人への感染力を獲得するか分かりません。今回は豚が持つウイルスで変異が起きた可能性が高いようです。
豚は、人と鳥のインフルエンザウイルスにも感染します。米疾病対策センター(CDC)では「豚の体内で、これらの異なるウイルスの遺伝子交雑が起きると、新型インフルエンザウイルスの発生につながる」と指摘しています。
豚インフルエンザウイルスは本来、人間に感染しませんが、CDCには2005年12月から今年2月にかけて12人の人への感染が報告されています。76年には米ニュージャージー州で、少なくとも4人の兵士にウイルス性肺炎が確認され、1人が死亡した「集団発生」例も発生しています。生きた豚に触ったことが原因のようです。
・豚肉を食べてもだいじょうぶ?
豚インフルエンザウイルスは中心温度71度での調理で死滅します。このため調理した豚肉や加工品を食べて感染することはまずないといえます。
・感染したらどんな症状がでるの?
豚インフルエンザの症状は、通常の季節性インフルエンザに似ています。発熱や倦怠(けんたい)感、食欲不振、せきに加え、鼻水、吐き気、のどの痛み、下痢などを発症する人もいます。
・ワクチンは効く?
国は新型インフルエンザの流行に備え、鳥インフルエンザウイルスを元に製造した3000万人分のプレパンデミックワクチンを備蓄しています。しかし、鳥と豚ではウイルスの違いが大きく「効果は難しいのではないか」との懸念もあり、現在、厚労省ではワクチンを製造するために国立感染症研究所を通じ、米国が持つ豚インフルエンザウイルスの一部を分けてもらえるよう交渉を始めています。
また、CDCによると、抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザが効くことも確認されています。日本ではタミフル4130万人分、リレンザ268万人分が流通・備蓄されており、安心材料の一つにはなりそうです。厚労省は「正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と呼びかけています。