アトピー性皮膚炎の重症度の判定にTARC(Th2ケモカイン)
アトピー性皮膚炎は、患者の多くがアトピー素因をもっており、慢性的に増悪と寛解を繰り返しますが、症状の程度に応じた適切な治療を行うことにより、症状がコントロールされた状態に維持されると自然寛解の期待できる疾患です。
しかし、近年特に成人30歳以上の有病率が増加している上に、重症化・難治化傾向が問題になっており、重症度に応じた適切な治療の重要性が改めて指摘されています。
TARC(thymus and activation−regulated chmokine)は、白血球走化作用を持つケモカインの一種で、過剰産生されるとTh2細胞を病変局所に引き寄せ、IgE抗体の産生や好酸球の活性化が起こり、アレルギー炎症反応を惹起すると考えられています。とりわけ、アトピー性皮膚炎において特異性がみられ、重症になるほど著明に上昇し、軽快に伴い減少します。
TARCの測定は、アトピー性皮膚炎の病態を客観的に数値化することで、重症度評価の一助として有用です。
検査材料:血清(血漿はデータ低下が見られるので避ける)
測定方法:ELISA
基準値:単位(pg/ml)
小児(6〜12ヶ月):1367未満
小児(1〜2歳):998未満
小児(2歳以上):743未満
成人:450未満
●アトピー性皮膚炎の重症度判定の目安(参考)
・成人
血清TARC値 700pg/ml未満:軽度
血清TARC値 700pg/ml以上:中等症以上
・小児
血清TARC値 760pg/ml未満:軽度
血清TARC値 760pg/ml未満:中等度以上