β-トロンボグロブリン(β-TG)
血小板活性化の指標である。β-トロンボグロブリン(β-TG)は、
分子量35800の血小板特異蛋白で、血小板から放出されるPF4(血小
板第4因子)が限定分解されたものと考えられています。
PF4は、ヘパリンの中和能力の違いで分類され、中和力の高いもの
がHigh affinity PF4(HA-PF4)、低いものがLow affinity PF4
(LA-PF4)です。通常PF4といわれるものはHA-PF4で、これはLA-
PF4にくらべてヘパリン中和能力が6倍以上あります。
β-TGは、LA-PF4と同じ抗原性を持ち、アミノ酸組成も類似してい
るため、LA-PF4が限定分解されて生じた分解物であると考えられて
います。β-TGの機能については血管内皮細胞のプロスタサイクリ
ン産生を抑制するといわれますが、今のところ不明な点が多い。
β-TGは、血小板の異物面との接触や、トロンビンなどによる血小
板活性化に従い、血小板由来成長因子やフィブリンと共にα顆粒か
ら放出されます。このため血漿中のβ-TGレベルは、血栓性疾患あ
るいは血栓準備状態における血小板活性化の直接的指標となります。
β-TGはPF4と共にDICで増加しますが、これはDICによって血中に出
現したトロンビンや]aなどの活性型凝固因子の刺激によって、β
-TGが血小板から放出されるためと考えられます。また、逆に血小
板減少症ではα顆粒をもつ血小板数が少ないため減少します。
測定方法: EIA
基準値:単位( ng/ml)60 以下
検査材料:血漿
高値を示す病態
脳梗塞、心筋梗塞、DIC、深部静脈血栓症、糖尿病、悪性腫瘍
低値を示す病態
血小板減少症、抗血小板剤投与時
※β-TGは採血法、その後の処理の仕方によりデータが変動しやす
いので、以下のようにするのが望ましい
採血はなるべく駆血帯を使用せず、2シリンジ法にてまず初めの血
液2ml位を捨てたのち、次のシリンジで4.5mlを採取し専用容器に移
す。2〜4℃下2000Gで30分遠心し、上清の表面よりやや下の部分を
分取した乏血小板血漿(PPP)を凍結で保存し検査を行う。遠心ま
での間、検体は氷浴中で保存するが、1時間位までは安定である。
血漿分離が遅れると、血小板から次々にPF4が放出されるため、予
想外の高値となる場合がある。