HIT抗体検査法
HIT抗体(ヘパリン・PF4複合体抗体)の検査法にはヘパリン惹起血小板凝集法とELISA法(酵素免疫測定法)の2種類があります。1)ヘパリン惹起血小板凝集法
健常者の多血小板血漿に患者血漿を1:1の割合で混和し、惹起物質としてヘパリン(終濃度0.1〜1.0単位/ml)を添加し、血小板凝集を観察します。血小板凝集能測定装置があれば短時間で結果を出すことができます。HIT抗体陽性の場合は、0.1〜1.0単位のヘパリン添加で凝集が起こり、50〜100単位の高濃度のヘパリン添加で凝集が解離します。
本法は、健常者血小板を用いるため、ドナーの血小板がHIT陽性血漿に対して十分に凝集を示すことが求められます。また、特異度が高いため陽性を証明すればHIT診断につながりますが、感度が悪いため陰性だからといってHITを除外できません。
2)ELISA法(酵素免疫測定法)
市販のキットを用いてHIT抗体量を測定することができます。Asserachrom HPIA(日本ロッシュ)とPF4-Enhanced(イワキ)の2種類があります。ヘパリン・PF4複合体を抗原として用い、被検検体中の抗ヘパリン・PF4複合体抗体と免疫複合体を形成させ、形成された免疫複合体に酵素標識抗体を反応させ、比色定量します。ELISA法ではHITの病因となるIgG抗体以外のIgA、IgMを同時に測定しているため、擬陽性率が高いのが難点です。
HITで出現するHIT抗体は血小板減少の2日前頃に出現し、ヘパリン使用を中止すると徐々に低下し、50〜85日くらいで消失するため、検体採血のタイミングが重要になります。