D-ダイマー
フィブリノーゲンやフィブリンがプラスミンによって分解されると、
fibrin/fibrinogen degradation products(FDP)となります。FDP
は一次線溶(フィブリノーゲン分解産物:FgDP)と二次線溶(フィ
ブリン分解産物:D-ダイマーなど)の両者を反映するため、生成さ
れたFDPがフィブリノーゲン由来であるかフィブリン由来であるか
以前は鑑別できませんでした。そこで、フィブリン分解産物のみを
選択的に反映するものとしてD-ダイマーが開発されました。
フィブリノーゲンはE分画、D分画、その他の小分画(B・β1-42・A
分画など)からできており、分解産物がフィブリノーゲン由来の場
合D分画はモノマーとして存在します。一方フィブリン由来のD分画
は、[aにより相互に架橋結合を受け二量体を形成しているため、
ダイマーとして検出されます。したがって、D-ダイマーの測定は二
次線溶、すなわち安定化フィブリン分解産物の検出法として一次線
溶との鑑別に用いられます。
FDPが高値でD-ダイマーが正常であれば一次線溶亢進や先天性異常
フィブリノーゲン血症の可能性が高く、また、D-ダイマーも高値で
あれば二次線溶も亢進状態にあり、代償性DICまたはpre-DICである
可能性が高いといえます。
また、D-ダイマーは線溶療法のモニターとして用いられ、ウロキナ
ーゼ(u-PA)または、組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)
による線溶療法において、投与後のD-ダイマーの上昇によりその効
果を知ることができます。
本法は比較的短時間で定量できることから種々の臨床病態における
線溶動態解析の一手段として有用です。
測定方法:LPIA
検査材料:クエン酸血漿
基準値:単位(μg/ml)0.72 以下
高値を示す病態
二次線溶の亢進状態、Pre-DIC、DIC、急性静脈血栓症、
薬物投与(ウロキナーゼ、t-PAなど)、肺梗塞
低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ない