プロテインC 血液凝固を抑制するビタミンK依存性蛋白質
プロテインCは、プロテインSとともに血液凝固を抑制するビタミンK依存性蛋白質で、肝臓で合成されます。血液凝固反応により生成された凝固第Xa因子やトロンビン等は、血中のアンチトロンビンIIIにより活性を制御され、凝固反応が過剰進行しないよう調節されています。一方で血管内壁には別の制御系としてプロテインCが存在し、凝固反応を抑制しています。その一連の血液凝固反応は、プロテインC凝固制御系と呼ばれています。
プロテインCは、血管内皮細胞表面において、トロンボモジュリンと結合したトロンビンによって分解され、活性型のプロテインC(APC)となります。APCは活性中心にセリンをもつ蛋白融解酵素(セリンプロテアーゼ)であり、プロテインCはその前駆体と考えることができます。
プロテインCの遺伝子は第2染色体p14-21に存在し、その欠損を示す遺伝子異常者の出現頻度は約500人に1人といわれています。プロテインCの先天的な欠損はプロテインSの欠損とともに、反復する血栓症として発症し、時に重篤な塞栓症をおこします。また、後天的な欠損・低下でも血栓形成傾向などの血液凝固異常を招くことが知られており、後天的な活性低下は、ワーファリンのようなビタミンK拮抗性抗凝固剤の投与や、腸内細菌叢の破壊などのビタミンK異常により発症することが多い。
検査材料:クエン酸血漿
測定方法:LPIA
基準値:単位(%)62〜131
・高値を示す病態:高値側の臨床的意義は少ない
・低値を示す病態
先天的欠損症(プロテインC欠乏症、プロテインC分子異常症)
後天的欠損・低下症(ビタミンK拮抗剤投与、ビタミンK摂取低下、ビタミンK吸収低下症、肝機能障害、腎不全など)