尿中潜血反応
尿中に赤血球が多量に認められる場合を血尿といい、血色素(ヘモ
グロビン)が認められるものを血色素尿といいます。肉眼で明らか
に赤〜赤褐色尿が認められることを「肉眼的血尿」といい、肉眼的
には認められず潜血反応によって検出される場合を「顕微鏡的血尿」
といいます。血色素尿は遠沈した上清が鮮紅色を呈している事で血
尿と区別されます。
沈渣で毎視野に赤血球5個以上の血尿を認めるにも関わらず、試験
紙法(定性)で陰性の場合には、アスコルビン酸(ビタミンC)な
どの還元剤含有による偽陰性か、赤血球の膜異常、試験紙の劣化な
どを考慮します。逆に赤血球を認めないにも関わらず陽性の場合は、
筋の挫傷や激しい運動後のミオグロビン尿も考慮します。
尿潜血は、慢性腎炎や泌尿器系腫瘍・結石・溶血性疾患のスクリー
ニング検査として広く用いられています。
※女子では月経血混入の可能性を念頭におく。月経初日より約一週
間は陽性となり得る。
陽性を示す病態
[血尿をきたす疾患]
尿路の炎症(急性腎炎・慢性腎炎・腎結核・腎梗塞・腎盂炎・膀
胱炎・尿道炎・前立腺炎等)、結石、腫瘍(癌腫・乳頭腫・副腎
癌など)。出血性素因(白血病・紫斑病・血友病等)、フィラリ
ア症、特発性腎出血、無症候性腎出血、性器出血の混入
[ヘモグロビン尿症]
中毒(サルファ剤・キニーネ・フェニルヒドラジン・砒素・シュ
ウ酸)、蛇毒、マラリア、不適合輸血、重症火傷,先天性および
後天性溶血性貧血群、発作性寒冷血色素尿症、赤血球G-6-PD(グ
ルコース-6-リン酸脱水素酵素)欠乏症
[ミオグロビン尿症]
重症挫傷、横紋筋融解症