妊娠に伴う検査値の変化 肝機能検査値と消化器系の変化
妊娠 に伴う消化器系検査値の変化は、血清アルブミン・血清アルカリフォスファターゼにみられ、消化管緊張・運動・蠕動の減少により、便秘や胃・食道逆流が起こりやすくなります。
1)肝機能検査値の変化
妊娠により体内の蛋白量は増加しますが、水血症のため血清総蛋白濃度、アルブミン濃度は減少します。血清アルカリフォスファターゼ(ALP)活性は非妊娠時の2〜4倍に上昇しますが、この上昇のほとんどは胎盤由来のアイソザイム4(ALP4)の増加によるものです。
2)消化管緊張・運動・蠕動の減少
プロゲステロンやエストロゲンによる平滑筋弛緩作用のため、概して消化管の緊張や運動、蠕動が減少します。妊婦によくみられる便秘の主な要因と考えられます。また胃・食道逆流が起きやすいのは、下部食道の運動低下、増大した妊娠子宮による胃の頭側への偏位、胃食道括約筋の緊張低下などが原因として考えられます。
その他にも胆嚢の収縮機能は低下します。経産婦で胆石症(コレステロール結石)が多くみられる要因のひとつです。