感染症診断 の基本的な考え方
感染症を適切に診断し、適切な治療を行うためには、まず感染症か否かの判断を行い、次に感染部位はどこか、原因となっている微生物は何かという点について考慮した上で必要な検査を実施し、適切な抗菌薬選択します。また、周囲に拡大しないようにするための感染防止対策や発症を予防するための対策について考えることが必要となります。
1)感染症の原因は何か
・細菌、ウイルス、真菌、抗酸菌
・感染臓器別頻度の高い原因微生物を知っておく
1.市中肺炎:肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎桿菌肺炎マイコプラズマ、レジオネラ、ウイルス
2.誤嚥性肺炎:嫌気性菌、黄色ブドウ球菌3.尿路感染症:腸内細菌
4.細菌性髄膜炎:肺炎球菌、インフルエンザ菌
・補助診断:プロカルシトニン、β-Dグルカン・微生物学的検査が決め手となる
2)感染症診断のための微生物学的検査
・各種培養検査
1.抗菌薬による治療開始前に採取することが重要
2.血液培養は2セット採取する
・迅速診断検査
1.尿中抗原:肺炎球菌、レジオネラ
2.気道粘液中抗原:A群溶血連鎖球菌、インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス
3.便中抗原:ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス4.グラム染色
・遺伝子学的検査
1.PCR法
2.LAMP法
3)感染症に対する抗菌薬使用の原則
・感染部位、原因菌の絞込みをしてうえで可能性が否定できないいくつかの病原体に対して、それらに守備範囲をもった抗菌薬を開始(経験的治療)
・追って報告される培養結果などを用いて、より守備範囲の狭い抗菌薬への変更を検討(de-escalation)
・患者の基礎疾患や年齢、重症度などを評価しながら、治療法・治療期間を判断