尿中肺炎球菌莢膜抗原測定
肺炎球菌莢膜(きょうまく)抗体を利用した免疫学的抗原抗体反応
による免疫クロマト法を用いて、肺炎球菌莢膜抗原を検出します。
市中肺炎の原因菌のうち肺炎球菌は、検出頻度が約25%と第一位を
占めると同時に、適切な抗菌薬使用を誤ると重症化する危険性の高
いことは知られています。
培養法では菌の同定結果が出るまで急いでも2日間程度を要するの
に対し、尿中肺炎球菌莢膜抗原の検出は尿検体採取後30分程度で結
果が得られるので的確な初期治療薬の選択が可能になります。
本検査法は、尿を検体とするため侵襲性はなく、喀痰等の呼吸器系
検体が得られない場合にも測定可能です。しかも特別な機器も必要
とせず、検査結果を目視判定できる利点があり、国内相関性試験か
ら喀痰培養法との比較において感度61.3%(19/31)、特異度72.1%
(98/136)、血液培養との比較において感度80.0%(4/5)、特異度
73.3%(98/133)の報告があります。
肺炎球菌は自己融解酵素を持つため死滅しやすく、検体の採取状況
や取り扱いによっては培養法で検出されないこともありますが、本
検査法は、肺炎球菌の「菌そのもの」ではなく「莢膜抗原」を検出
するため、自己融解酵素による影響を受けないと考えられます。
さらに、培養法では検体採取前に抗菌薬が使用されている場合、原
因菌の検出ができないことが多いが、「莢膜抗原」を検出すること
から、事前の抗菌薬投与による影響を受けないことも確認されてい
ます。従って、培養法では検出できない場合であっても、肺炎球菌
莢膜抗原として検出することが可能です。
検査材料:尿
基準値:陰性(−)
測定方法:免疫クロマト法
※感染発症日から0〜2日後では、尿中抗原量が十分でないことによ
る偽陰性、上気道・口腔内に常在する肺炎球菌が培養されることに
よる喀痰培養の偽陽性を呈することがあります。