成人肺炎 院内肺炎HAPの重症度分類 I-ROAD
院内肺炎(hospital-acquired pneumonia:HAP)は、入院48時間以降に新しく出現した肺炎のことで、患者は何らかの基礎疾患をもつことが多く、また耐性菌が原因となることもあります。特に人工呼吸器管理中に起きた人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia:VAP)は治療に難渋することが多く、非常に予後が悪い疾患です。
HAPでは、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の関与が多く、そのほか緑膿菌・クレブシエラなどの腸内細菌が多く、薬剤耐性を獲得した細菌が原因となることが多いのが特徴です。
HAPの重症度は、5つの主要判定項目からなるI-ROADで判定します。
生命予後予測因子
1)I(immunodeficiency):悪性腫瘍または免疫不全状態
2)R(Respiration):SpO2>90%を維持するためにFiO2>35%を要する
3)O(Orientation):意識レベルの低下
4)A(Age):男性70歳以上、女性75歳以上
5)D(Dehydration):乏尿または脱水
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・上記項目が2項目以下で肺炎重症度規定因子
1)CRP≧20mg/dl
2)胸部X線写真陰影のひろがりが一側肺の2/3以上
該当なし:軽症群(A群)
該当あり:中等症群(B群)
・上記項目が3項目以上:重症群(C群)
MRSA保有リスク
1)長期(2週間以上)の抗菌薬投与
2)長期入院の既往
3)NRSA感染やコロニゼーションの既往