D-アラビニトール 深在性真菌症の診断に有用 - カンジダ属の主要代謝産物。深在性真菌症の診断に有用。また、D-アラビニトール/クレアチニン比も診断に有用です。

D-アラビニトール 深在性真菌症の診断に有用

D-アラビニトールは 、D-アラビノースの五炭糖アルコールで、真菌の一種、カンジダ属の主要代謝産物です。また、D-アラビニトールは ウロン酸経路に関連している物質です。
近年、化学療法や抗生物質などの進歩とともに、真菌による日和見感染症が増加しています。真菌感染症には表在性と深在性があり、表在性とは皮膚などへの感染で、深在性は臓器や血液などに感染するものです。深在性真菌症は診断が比較的難しく、抗菌剤も副作用が強いものが少なくないため、確実な診断指標が必要になります。
カンジタ属は通常、正常な細菌叢の構成菌として健康人の口腔や消化管、膣内などに存在しています。深在性真菌症は、このカンジダ属によるものが多く、深在性カンジダ症を引き起こします。深在性カンジダ症は日和見感染としての性格が強く、白血病や悪性リンパ腫、再生不良性貧血などの基礎疾患を伴う場合が多くみられます。抗生物質の無効な発熱、口腔内の白斑などの臨床症状がみられ、早期に抗真菌剤の投与が必要となりますが、血液培養で真菌の証明は難しいため真菌の代謝産物であるD-アラビニトールが指標として用いられます。他にもカンジダ抗原や、β-D-グルカンが知られています。

深在性カンジダ症では患者血清中にD-アラビニトールが増加し、そのクリアランスはクレアチニンと同様であるため、血清中濃度とともにD-アラビニトール/クレアチニン比も診断に有用です。また長期間のD-アラビニトール値の変化は、体内でのカンジダの増殖の変化を知る手がかりにもなります。

・陽性を示す病態 深在性カンジダ症
・低値を示す病態 低値側の臨床的意義は少ない

検査材料:血清
測定方法:酵素法
基準値
D-アラビニトール(μmol/l)
15歳以下 M:0.7〜5.9 F:0.5〜5.3
16〜65歳 M:0〜9.7 F:0〜10.6
66歳以上 M:0〜27.9 F:0〜18.4
クレアチニン(mg/dl)
M:0.5〜1.3 F:0.4〜0.9

D-アラビニトール/クレアチニン比(μmol/mg・Cr)
15歳以下 M:0〜0.8 F:0〜0.8
16〜65歳 M:0〜0.8  F:0〜1.1
66歳以上 M:0〜2.2  F:0〜1.9

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