ロタウイルス抗原・抗体価
ヒトロタウイルス(HRV)はRNAウイルスであり、冬期に発生するウイルス性下痢症の中では最も重要な病原体です。小児に好発し散発例が乳幼児を中心にみられるのに対し、保育所や小学校では集団発生がおこることがあります。
ロタウイルスの初感染は、母親からの移行抗体のなくなる生後6ヶ月から2歳半ぐらいに発症し、その後も感染を繰り返しますが重症になることがほとんどなく、2歳半以後に急速に抗体保有率は上昇し、成人の保有率と等しくなってきます。
流行時期は、我が国では11〜3月までの冬期ですが、夏期にもまれに発生することがあります。ほぼ48時間の潜伏期間をもち、腹痛、嘔吐、発熱などに続いて下痢を起こします。下痢便は通常、水様〜粘液性で白色のものが多いが、血便や消化不良を示す緑色便がみられる場合もあります。下痢は3〜4日続きウイルスの便中への排泄はその後数日続きます。
予後は良好であり致命的になることはまれですが、栄養事情が悪い場合や虚弱な乳幼児、他の感染症を併発した場合などは脱水などで重篤になる場合があります。
ロタウイルス感染を証明する方法は、患者の糞便中の抗原の検出と血清抗体の上昇の有無を調べる方法があります。糞便中から直接ロタウイルス抗原を検出する方法としてEIA法があり、抗体検査としてCF法があります。
抗体検査の場合、急性期および回復期に採血し4倍以上抗体価の有意上昇で診断します。
検査材料:糞便(抗原)血清(抗体価)
測定方法:EIA(抗原)CF(抗体価)
基準値:陰性(抗原)4倍未満(抗体価)
陽性を示す病態
ロタウイルス感染症(乳幼児冬期下痢症)