馬尿酸 メチル馬尿酸 尿中有機溶剤
馬尿酸(Hippuric acid:HA)は、馬などの草食動物の尿から発見された有機酸で、有機溶剤であるトルエンの代謝物です。トルエンの主な吸収経路は吸入であり、80%が安息香酸に代謝され、次いでグリシン抱合を受け、馬尿酸として尿中へ排泄されます。トルエンの未代謝物としての尿中への排泄はほとんどなく、トルエン使用者の暴露指標として用いられ、勤務終了時に採取します。
果物(ベリーやプラム類など)や、食品添加剤に用いられる安息香酸ナトリウムの摂取により高値になることがあるので注意を要します。
メチル馬尿酸(Methyl hippuric acid:MHA)は、有機溶剤であるキシレンの代謝物です。吸収の主な経路は吸入であり、約95%がメチル安息香酸に代謝され、グリシン抱合を受けメチル馬尿酸として尿中に排泄されます。3日以内にほとんど完全に排出されるため、作業終了後24時間以内に採取します。馬尿酸と異なり通常尿中に存在しないため、暴露前の対照は必要としません。なお、肝機能障害時にはメチル馬尿酸の代謝が低下することがあります。
検査材料:尿
測定方法:HPLC
基準値:単位(g/l)
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