鉛(Pb) 鉛中毒の早期発見や暴露のモニタリング - 鉛の測定は通常、鉛を取り扱う作業者において、鉛中毒の早期発見や暴露のモニタリングとして行われる。

鉛(Pb) 鉛中毒の早期発見や暴露のモニタリング

鉛は、主に呼吸器や消化器を介して人体に吸収され、骨と結合して蓄積されます。呼吸により肺から吸入された鉛の30〜40%が血中に移行し、そのほとんどが赤血球と結合し、最終的には骨に沈着します。鉛のヒト体内での生物学的半減期は約5年と長いため、長期間にわたる蓄積が生じやすいとされています。血液系にみられる異常では貧血や赤血球中の好塩基性斑点が知られており、ヘム蛋白合成系の酵素を阻害するためポルフィリンの代謝異常をきたします。
平成元年10月1日に施行された改正労働安全衛生法では、鉛を取り扱う事業所においては、「鉛中毒予防規則」に定める血液中の鉛濃度、尿中δ-アミノレブリン酸、血中プロトポルフィリン(2次検査)などの測定が義務づけられています。

鉛を含む空気を吸入すると、急性症状として貧血や腹痛などを呈し、さらに末梢神経障害や脳症、腎機能障害などを発症します。海外では家の壁に塗られていた含鉛ペンキを子供が舐め脳炎を伴う中毒症状を起こしたという報告もあります。関連検査では赤血球に好塩基性斑点がみられ、末梢神経伝導速度が低下します。
鉛は人体に有害な物質ですが、鉛を添加したガソリンの使用規制により、世界的に血中鉛の濃度は低下傾向にあるといわれています。

検査材料:ヘパリン加血液
測定方法:原子吸光法
基準値:単位(μg/dl)20以下
※産業衛生関連検査としての基準値はこちら
高値を示す病態
鉛中毒(貧血、赤血球寿命の短縮、網状赤血球増多、末梢神経障害、脳症、腎機能障害などを呈する)

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