癌関連ガラクトース転移酵素(GAT) - 卵巣癌の血中腫瘍マーカー。CA125等、他の卵巣癌マーカーと比較して陽性率は劣るが癌特異性が高い。

癌関連ガラクトース転移酵素(GAT)

癌関連ガラクトース転移酵素(galactosyltransferase associated with tumor:GAT)は、卵巣癌患者腹水より見出された、正常人血清中のガラクトース転移酵素とは質的に異なる糖転移酵素です。

近年、細胞の癌化に伴って発現した異常糖鎖に由来する種々の「糖鎖抗原」が腫瘍マーカーとして確立されてきましたが、こうした異常糖鎖の生成には糖転移酵素の異常が一因として関与すると考えられており、GATもその一つとして注目されています。

これまでの臨床的検討より、GATはCA125のような既存の腫瘍マーカーに比して卵巣癌に高い特異性を示すことが明らかになっています。たとえば、CA125は卵巣癌において70〜80%の高い陽性率を示す反面、良性疾患である子宮内膜症(内膜症性嚢胞)でも約50%が陽性化することから、検査値のみでの両者の鑑別は困難でした。

これに対して、GATの婦人科良性疾患における偽陽性率は10%未満です。すなわち、内膜症性嚢胞を有する、または内膜症性嚢胞が疑われる患者での卵巣癌の診断や治療モニタリングにはGAT測定が有用となります。

なお、妊娠中期以降ではcut-off値を超える高値を呈することがあります。年齢・性周期による影響は認められません。

検査材料:血清
測定方法:EIA
基準値:単位(U/ml)13.6以下

高値を示す病態 卵巣癌

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