デオキシピリジノリン deoxypyridinoline:DPD
デオキシピリジノリン(DPD)は、骨基質の主要構成成分である1型コラーゲンの分子間に架橋を形成しコラーゲン線維の安定化に寄与する「ピリジニウム架橋アミノ酸」の一つです。
この架橋物質には構造的に類似するpyr(ピリジノリン)およびDpyrの2種がありますが、前者が骨・軟骨に加えて多くの結合組織にも存在するのに対し、後者の分布は主に骨・歯牙に局在するため骨特異性がより高いといえます。
骨吸収に伴う分解産物として放出されたDpyr(およびpyr)は、異化を受けずに尿中に排泄されます。このうち約40%が遊離型、60%がコラーゲン分子末端部を含むペプチド結合型であり、ここに掲げるEIA法にて測定されるのは遊離型のみです。
通常、遊離型・ペプチド結合型の尿中排泄量比率はほぼ一定していることから、遊離Dpyr量は生体の骨吸収状態の指標となります。
骨量減少をきたす各種代謝性疾患、癌の骨転移等で尿中遊離Dpyrは健常者に比べて有意な高値を示し、その診断や病態把握に有用です。
女性では閉経後から徐々に遊離Dpyrの尿中排泄量が増加し、3〜5年で最大値に達します。思春期前は成人に比べて約10倍の高値となります。
検査材料:尿
基準値:単位(nmol/mmol・Cr)M 2.1〜5.4 F 2.8〜7.6
測定方法:EIA
高値を示す病態
癌の骨転移(乳癌、肺癌、前立腺癌など)、原発性副甲状腺機能
亢進症、骨粗鬆症、甲状腺機能亢進症、骨Paget病、骨軟化症
低値を示す病態 低値側の臨床的意義は少ない