NTI LowT3症候群
飢餓状態や悪性腫瘍、敗血症、外科手術後、外傷、熱傷などの重篤な全身疾患を持つ患者において、甲状腺に異常がないにもかかわらず、血中のT3の低下が認められ、さらに重症になるとT4も低下することが知られています。このような病態をeuthyroid sick syndromeまたはLow T3症候群と呼び、このような状態をきたす疾患・病態をnon-thyroidal illness(NTI)といいます。
脱ヨード酵素の活性低下によるT4からT3への変換障害が原因と推測されていましたが、最近の検討では否定されています。重症患者ではTSH分泌の退化が認められ、視床下部―下垂体の中枢性の機能低下の要素も推測されていますが、明確なメカニズムは不明です。
現疾患の重症度と甲状腺ホルモンの低下度は相関することが報告されており、血中のT4濃度が2μg/dL以下では予後は極めて不良となります。