甲状腺機能低下症
血液中の甲状腺ホルモンが減少すると、体の代謝が悪くなり、肌の乾燥や疲労感、無気力、物忘れなどの症状が現れます。この状態が「甲状腺機能低下症」です。
代表的な疾患は橋本病(慢性甲状腺疾患)です。このほか、甲状腺の病気の治療が原因で起こるものや、先天性の「クレチン症」などもあります。
・甲状腺機能低下症の症状
1)むくみ
2)寒がり
3)便秘
4)夏でもあまり汗をかかない
5)皮膚が乾燥
6)集中力の低下
7)髪の毛が全体的に薄くなる
8)声がかすれる
9)ろれつが回らずしゃべり方がゆっくりになる
10)月経異常 など
・甲状腺機能低下症の疾患例
1)慢性甲状腺炎(橋本病)全体の90%以上
2)甲状腺手術後(バセドウ病など)
3)甲状腺薬の過剰投与(バセドウ病など)
4)甲状腺ホルモン不応症(全身性)
5)下垂体性甲状腺機能低下症
6)視床下部性甲状腺機能低下症
7)先天性甲状腺機能低下症(クレチン病)
・慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン
a)臨床所見
1)びまん性甲状腺腫大
但しバセドウ病など他の原因が認められないもの
b)検査所見
1)抗甲状腺マイクロゾーム(またはTPO)抗体陽性
2)抗サイログロブリン抗体陽性
3)細胞診でリンパ球湿潤を認める
慢性甲状腺炎(橋本病):a)およびb)の1つ以上を有するもの
※付記
1)他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする
2)甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗マイクロゾーム抗体およびまたは抗サイログロブリン抗体陽性の場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする
3)自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は、慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える
4)甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均一を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い