甲状腺の役割
正常成人における甲状腺は、輪状軟骨の下位で第3〜第4気管支軟骨の前面に位置し、左右両様に分かれている重さ15〜20gの内分泌臓器です。
気管前面の左右結合部位は峡部といわれ、びまん性に腫大した場合にはこの頭部側に錐体葉ができることがあります。
正常甲状腺は触診ではほとんど触れないのが普通です。嚥下運動とともに正常な状態では気管とともに上下します。甲状腺は血流に富んだ組織で、血流量は甲状腺1gあたり4〜6ml/分と多い。
甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。血中のT4およびT3の99%以上は甲状腺ホルモン結合蛋白に結合しており、正常人ではT4の0.03%、T3の0.3%が生物活性を示す遊離T4(FT4)および遊離T3(FT3)として存在しています。
甲状腺ホルモンの作用には次のものがあります。
1)代謝促進
糖代謝の促進・・糖尿、高血糖
タンパク、核酸代謝の促進・・タンパク合成の増加
脂質代謝の促進・・脂肪分解の促進
代謝促進はインスリン、グルカゴン、コルチコイド、カテコールアミンと協同作用
2)熱産生
酵素消費と熱産生(ただし脳や脾臓ではみられない)
3)発育促進
胎児期・幼児期に成長と成熟の促進
神経系の発育には必須
また、甲状腺疾患の種類は以下のものがあります。
1、機能異常による分類
1)甲状腺ホルモン過剰症
甲状腺中毒症
甲状腺機能亢進症・・バセドウ病
2)甲状腺ホルモン欠乏
甲状腺機能低下症・・橋本病
2、形態異常による分類
1)慢性甲状腺腫・・橋本病
2)結節性甲状腺腫・・甲状腺腫瘍