甲状腺ホルモン異常の病態 TSH正常または低値 FT4低値
TSH正常または低値、FT4低値の場合は甲状腺ホルモン低下に対するTSH上昇というフィードバックが働いていない状態であり、下垂体・視床下部の病変による中枢性甲状腺機能低下症がまず考えられます。視床下部性甲状腺機能低下症の一部ではTSHが軽度に上昇していることがあり、機能低下の頻度に比較してTSHの上昇が不十分な場合には疑う必要があります。
成人では下垂体、視床下部の腫瘍によることが多く、二次検査として下垂体・視床下部のMRI、CTによる画像検査を行い、TRH負荷試験によりTSHの分泌能や甲状腺ホルモンの反応性をみます。他の下垂体前葉ホルモン異常を伴っている場合があり、その評価も必要となります。
重症疾患患者や飢餓状態においては甲状腺機能に異常がなくてもホルモン(特にFT3)が低値となることがありnon thyroidal illnessまたはeuthyroid sick syndrome,LowT3症候群などと呼ばれます。この場合、TSHは正常または軽度低下、FT3が低値となり、さらに重症になるとFT4も低値を示します。甲状腺疾患と見誤らないことが重要です。
TSH低値、FT4高値
TSH低値、FT4正常
TSH高値、FT4低値
TSH高値、FT4正常
TSH正常または高値、FT4高値