動脈硬化と高感度CRP(hsCRP)
メタボリックシンドロームに深くかかわる動脈硬化症は、軽度の慢
性炎症性変化です。この軽度な炎症反応をとらえるには、従来から
のCRPでは測定感度が不十分と考えられ、この高感度CRP(high
-sensitive C-reactive protein:hsCRP)測定が利用されます。
CRPは単球からのIL−6、IL−1β、TNF−αなどの炎症
性サイトカイン分泌促進作用や血管内皮細胞でのVCAM−1、I
CAM−1、MCP−1の発現増強を介して単球内皮細胞への接着
を亢進させる作用を有しており、単なるマーカーではなくそれ自体
動脈硬化促進因子であるといえます。
最近の研究で、CRPは内臓脂肪やインスリン抵抗性と相関がある
ことも報告され、ヒト脂肪組織でのCRP遺伝子発現の確認が、ア
ディポネクチンによる負の制御を受けている可能性も報告されてい
ます。
CRPは内臓脂肪でも産生され、アディポネクチンにより制御され
ており、心血管疾患の予測因子であるばかりでなく、メタボリック
シンドロームの病態のマーカーであるともいえます。
日本人の高血圧を予測する高感度CRPの値は、約0.1mg/Lとされて
います。