抗IA-2抗体 - 膵島関連自己抗体のひとつ。若年発症型の1型糖尿病で高い陽性率。

抗IA-2抗体

IA-2(insulinoma‐associated protein-2)は、1992年にRabinらによって発見された受容体タイプの蛋白で、979個のアミノ酸で構成されています。「チロシンフォスファターゼ類似蛋白ファミリー」の一つであり、膵β細胞で発現が確認されています。IA-2とは別個にクローニングされたICA512とは、同じ物質であることが後に判明したため、「ICA512/IA-2抗体」ともいわれます。

IA-2は膵島の蛋白であるため、糖尿病と関連が深く、実際、多くの1型糖尿病患者の血清中に、IA-2に対する自己抗体の存在が確認され、新しいマーカーとして注目されるようになりました。すなわち抗IA-2抗体は、抗GAD抗体やICAなどと共に主要な膵島関連自己抗体の一つとして位置付けられています。とくに抗IA-2抗体は、1型糖尿病の発症前より血中に出現することがあるため、1型糖尿病の発症予測に有用なマーカーと考えられています。

抗IA-2抗体と抗GAD抗体との相関は低く、両抗体からは個別の情報が得られ、結果を比較することで、1型糖尿病の分類や予後推定に役立てることができます。たとえば緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)において、抗GAD抗体と比較すると、抗IA-2抗体の陽性率はかなり低い。これに対し急激に発症し進行するタイプの1型糖尿病では、両抗体とも陽性となる頻度が全体の約40%と比較的高い。一方、抗GAD抗体に比べ、抗IA-2抗体は若年発症例(10歳以下)において高い陽性率を示すため、若年性の1型糖尿病の診断に有用とされます。また抗IA-2抗体、抗GAD抗体の両者陰性の場合は、2型糖尿病の可能性が示唆されるため、定期的な経過観察が必要です。

検査材料:血清
検査方法:RIA
基準値:単位(U/ml)0.4未満

高値を示す病態
1型糖尿病(特に若年発症1型糖尿病)および緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)、抗体陽性急性発症1型糖尿病

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