抗GAD抗体 - 膵島由来分子に対する自己抗体。IDDMの発症予知、スクリーニングやNIDDMとの鑑別に有用。

抗GAD抗体

グルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase:GAD)は、γ-アミノ酪酸(GABA)をグルタミン酸から合成する酵素です。主に脳内に存在していますが、膵β細胞にも多く含まれている分子量64kDaの蛋白です。GABA自体はインスリン合成や膵島細胞のホルモン分泌調整を担っています。

抗GAD抗体は、膵島由来の分子量64kDaの蛋白に対する自己抗体としてstiff-man症候群患者において発見されました。同患者がインスリン依存性糖尿病(IDDM)を合併することが多いことから、IDDMの発症に抗GAD抗体が関与していると考えられています。

IDDMは主に若年層に発症し、治療にインスリン注射が不可欠となる疾患です。従来より抗膵島細胞質抗体(ICA)がIDDMの予知マーカーとして知られていますが、抗GAD抗体はこれに匹敵するものです。発症初期のIDDM患者の陽性率は8割を越えます。また、中高年のNIDDMで経過中にインスリン依存状態が出現するSlowly progressive IDDMでも陽性となります。

検査材料:血清
検査方法:RIA(プロテインA法)
基準値:単位(U/ml)1.5未満

高値を示す病態
インスリン依存性糖尿病(IDDM)、Slowly Progressive IDDM、stiff-man症候群

低値を示す病態
低値側の臨床的意義は少ない

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