1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)
1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は、1973年にPitkanenによりヒト体内の存在が発見されたポリオール(グルコース誘導体の一種)です。
1,5-AGは、食物として経口的に摂取され、健常人の血中ではほぼ一定した濃度に保たれています。尿糖排泄時に容易に尿中に失われるとともに、血中濃度も速やかに低下するため、糖尿病患者では著しい低値を示します。また、血糖コントロール状態の悪化時に急速に減少し、良好な血糖状態の持続により一定の割合で回復する。1,5-AGは短期間の血糖状態も反映し、軽度高血糖領域でもよく変動することから、より厳格な血糖コントロールや糖尿病の治療効果判定などにおいて有用な指標です。
1,5-AGは血糖コントロールの増悪をおよそ一日のタイムラグで反映し、その変動幅はHbA1cやフルクトサミンより大きく、また1g/日位の尿糖レベルでも低下するといわれています。血糖の変動が少ない症例ではHbA1cとほぼ相関しますが、急性増悪や回復期にある症例ではよい指標となります。
検査材料:血清
測定方法:酵素法
基準値:単位(μg/ml)14.0以上
・高値を示す病態
デキストリン投与(高値側の臨床的意義は少ない)
・低値を示す病態
糖尿病、腎性糖尿病、胃切除後、慢性腎不全