慢性甲状腺炎(橋本病)
慢性甲状腺炎(橋本病)は、甲状腺における慢性炎症のために、びまん性の甲状腺腫大や甲状腺機能低下症を生じる、中年の女性に多い疾患です。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は上昇、総トリヨードサイロニン(T3)、総サイロキシン(T4)は低下し、甲状腺の組織成分に対する自己抗体として、抗サイログロブリン(Tg)抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体などが検出されます。
生検組織では、リンパ球浸潤、リンパ濾胞や胚中心の形成、濾胞上皮組織の変性を認めます。
臨床的特徴
硬いびまん性甲状腺腫・皮膚乾燥・浮腫・筋力低下・寒がり・発汗
減少・記憶障害
関連自己抗体
・抗サイログロブリン(Tg)抗体
・抗甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)抗体
慢性甲状腺炎(橋本病)の他、バセドウ病でも高率に出現。他の
甲状腺疾患でも検出される。
※慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン:第7次案
(日本甲状腺学会 平成16年)
a)臨床所見
1びまん性甲状腺腫大
但しバセドウ病などの他の原因が認められないもの
b)検査所見
1抗甲状腺マイクロゾーム(またはTPO)抗体陽性
2抗サイログロブリン抗体陽性
3細胞診でリンパ球浸潤を認める
1)慢性甲状腺炎(橋本病)
a)およびb)の1つ以上を有するもの
付記
1他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
2甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗マイクロゾーム抗体およびまたは抗サイログロブリン抗体陽性場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
3自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える。
4甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均一を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い。