天疱瘡(てんぽうそう) - 天疱瘡は、皮膚および粘膜を標的とする臓器特異的自己免疫疾患です。中年以降の人に好発し、尋常性天疱瘡(PV)と落葉状天疱瘡(PF)に分類されます。

天疱瘡(てんぽうそう)

天疱瘡は、皮膚および粘膜を標的とする臓器特異的自己免疫疾患で
す。中年以降の人に好発し、粘膜および皮膚の弛緩性水疱とびらん
面を特徴とする尋常性天疱瘡(PV)と小水疱と落屑を伴う紅斑を
特徴とする落葉状天疱瘡(PF)に分類されます。

天疱瘡患者血液中にはIgGクラスの抗表皮細胞間抗体が認められ
ます。抗原タンパクはケラチン中間径線維が裏打ちするデスモソー
ムに存在し、PV抗原、PF抗原はそれぞれデスモグレイン3(D
sg3)、デスモグレイン1(Dsg1)と命名されています。
半数以上のPV患者血清中には、抗Dsg3抗体のみならず抗Ds
g1抗体も存在します。

臨床的特徴
尋常性天疱瘡(PV)
・弛緩性水泡とびらん面(皮膚・粘膜)
ほぼ全例に、口腔内に生じる有痛性のびらんを認めます。半数以上
の症例に口腔のみならず皮膚にも、弛緩性の大・小水疱が多発、破
れて疼痛の強いびらん面を認めます。
適切な治療なしでは、びらん面は表皮形成が行われにくく、拡大・
融合します。

落葉状天疱瘡(PF)
・小水疱と落屑を伴う紅斑(皮膚)
弛緩性水疱が生じたあとが乾燥して落葉状の落屑を生じることから
命名されました。頭部・顔面・胸・背などに好発し、口腔などの粘
膜病変はまれです。予後は概してPVより良好です。

関連自己抗体
・抗デスモグレイン1IgG抗体(抗Dsg1抗体)
・抗デスモグレイン3IgG抗体(抗Dsg3抗体)
抗Dsg1抗体と抗Dsg3抗体を組み合わせることによりPVと
PFの鑑別診断が可能になります。

抗Dsg1抗体(−)抗Dsg3抗体(−)他の疾患または健常者
抗Dsg1抗体(−)抗Dsg3抗体(+)PV(粘膜優位型*1)
抗Dsg1抗体(+)抗Dsg3抗体(−)PF
抗Dsg1抗体(+)抗Dsg3抗体(+)PV(粘膜皮膚型*2)

*1:主に口腔粘膜などの粘膜が侵される
*2:粘膜にとどまらずほぼ全身の皮膚が侵される

健康診断・血液検査MAP