抗アクアポリン4抗体 ELISA法 視神経脊髄炎の鑑別診断
視神経脊髄炎(Neuromyelitis optica:NMO)は主に視神経と脊髄に病巣を有する中枢神経系の炎症性疾患で、従来、多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)の一病型と考えられてきました。発症年齢は30〜35歳が平均とされ、ほとんどが女性です。
2004年に NMO の血液中に特異的な自己抗体が存在することを発見され、NMO-IgG と命名されました。さらに翌年、NMO-IgG が認識する蛋白質が全身に分布する水チャンネルと呼ばれる分子の一つ、アクアポリン4であることが発見され、NMO の臨床像が多様であることが明らかになりました。また、NMO では MS の標準的な治療法であるインターフェロンβ製剤の投与による症状の悪化や再発例の報告があり、治療法の異なる両者の鑑別診断が重要であると指摘されています。そのため、抗アクアポリン4抗体の測定は様々な研究が進められるなかで、既に治療ガイドラインに収載されています。なお、視神経脊髄炎の診断基準は2006年に改訂されています。
検査材料:血清
測定方法:ELISA法
基準値:1.0未満
※保険未収載ですので検査施設により異なりますが、実施料は3万〜4万円くらいです。
視神経脊髄炎の初発症状としては視神経炎(視力障害)が多く、はじめに眼科を受診し治療を受ける場合が少なくありません。視力障害が高度な場合には失明することもあり、早期の診断と治療開始が重要と考えられます。脊髄炎は体の一部分の感覚障害(しびれ、痛み、感覚低下)として認めることが多く、高度の場合には運動麻痺や排尿障害などもみられることがあります。脊髄炎の前駆症状としてしゃっくりや吐気が続くことがあります。まれに脳にも再発することがあり、意識障害や片麻痺、失語症や小脳失調などが認められることがあります。
再発頻度は多発性硬化症よりもやや高く、平均すると年に1〜2回認められます。再発時にはステロイドパルス治療が有効ですが、時に反応が悪いことがあり、血液浄化療法を追加することで著しい改善が認められることがあります。再発予防には免疫抑制剤やステロイド剤の内服が有効です。
※間接蛍光抗体法による抗アクアポリン4抗体測定は、東北大学医学部神経内科学教室に依頼することも可能です(無償)
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