オカルトHBV感染
オカルトHBV感染は、血中HBs抗原が陰性のHBV感染(血中のHBV-DNA、または組織中のHBV-DNAが陽性)状態と定義されています。オカルトHBV感染の典型的な症例は、HBc抗体単独陽性患者の肝臓を移植し、免疫抑制剤使用により組織内に潜伏すていたウイルスが再燃し肝臓移植を行った約100%の患者にHBV感染が確認されることです。
オカルトHBV感染患者の肝臓の炎症および繊維化の程度は軽度です。またオカルトHBV感染者は宿主免疫機能低下時に肝障害を伴うHBV増殖の再燃を起こすことが知られています。さらに、肝繊維化ステージ進行例やHCV重感染者などの肝細胞癌ハイリスク群での、肝発癌に関与する可能性が高いと考えられています。
ke-Qin HuらはオカルトHBV感染の要因として次の6つを挙げています。
1)HBVの変異
2)HCVやHIVとの重複感染
3)HBVの末梢血単核細胞への感染
4)HBVを含む免疫複合体の形成
5)HBV-DNAの宿主染色体屁の統合
6)宿主の免疫能の変化
この中でも特に1)〜3)が今後のオカルトHBV感染を考える上で重要です。