非アルコール性脂肪肝炎 NASH 脂肪肝から肝硬変・肝癌へ
非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は生活習慣病を基盤に発症し、これといった症状もなく進行し、血小板減少や線維化マーカー(ヒアルロン酸・4型コラーゲン7S)の上昇が早期発見のカギとなっています。NASHの典型例は、毎年の健診で脂肪肝を指摘されながらも放置していて突然肝硬変が見つかったというものです。
NASHは、アルコール性肝炎と似た病理学的所見を示しますが、飲酒量が多くない(エタノール換算で1日20g以下)人で生じる肝炎です。
アルコールを原因としない脂肪肝は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fattyliver disease)と称されており、NAFLDは、炎症や線維化を伴わない単純性脂肪肝と、炎症や線維化を伴うNASHに大別され、単純性脂肪肝からNASHへの進行も確認されています。NASHは10年で20〜30%が肝硬変、肝癌に進展し、進行したNASHの予後は不良です。
NAFLDやNASHの病態に関しては、まだ分からないことも多く、NAFLDは、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧、それらを合併したメタボリックシンドロームなどの生活習慣病を基盤として発症することが知られています。そして、酸化ストレスなどの誘因により、炎症や線維化が生じNASHが進行すると考えられています。
特にインスリン抵抗性は、脂肪酸のβ酸化を促進し、酸化ストレスの原因となります。脂質代謝異常に伴う酸化ストレスもNASHの進行に関与しています。そのため多くの糖尿病患者がNASHを合併していると考えられ、NASHと高血圧との関連も注目されつつあります。
高血圧患者で活性化されるアンギオテンシンの受容体が肝臓で線維をつくる星細胞上に存在するため、血圧が高いと肝の線維化が促進されやすくなり、高血圧患者もNASHを合併しやすくなると考えられています。
インスリン抵抗性指数:空腹時血糖×空腹時インスリン÷405