動脈硬化の指標 EPA/AA比
EPA/AA比 は、血液中の脂肪酸の エイコサペンタエン酸(EPA)と アラキドン酸(AA)の割合を示しています。EPA は動脈硬化を抑制しますが、 AA は炎症を引き起こし、動脈硬化を促進するように働きます。 動脈硬化性疾患の患者では、この EPA/AA比 が低いことが報告されています。
急性心筋梗塞(AMI)では、冠動脈粥状硬化症の進展と不安定プラークの破裂が重要なプロセスとなります。AMI患者を対象に、血液中の脂肪酸と冠動脈プラーク、石灰化の関連について検討した研究(三豊スタディ)で AMI 患者における血中の EPA 濃度は有意に低く、血中 EPA/AA比 は有意に低いという結果が得られています。また、AMI患者において血中 EPA/AA比 と冠動脈プラークに相関関係があることが示唆され、血中のEPA濃度が低いと、動脈硬化が進展していることが推定されます。
冠動脈疾患既往のある症例のEPA/AA比と冠動脈イベント発症率は、主要な冠動脈イベント、不安定狭心症においてEPA/AA比が高いほどリスクが低い傾向がみられ、突然心臓死または致死性/非致死性心筋梗塞ではEPA/AA比が低い群に比べてイベント発症リスクは有意に42%低下したとの報告もあります。
エイコサペンタエン酸(EPA:Eicosa Pentaenoic Acid)は、魚類、海藻類、プランクトンなどに多く含まれる不飽和脂肪酸で、その構造は、20の炭素に5つの二重結合を有し、末端のメチル基より3番目の炭素に二重結合があることから、n-3系不飽和脂肪酸とよばれています。
血中脂肪酸4分画
検査方法: Gas-chromatograph法
検査材料:血清またはヘパリン血漿
基準値:単位(μg/ml)
DHLA (ジホモ-γ-リノレン酸)10.9〜43.5
AA (アラキドン酸)85.1〜207.8
EPA (エイコサペンタエン酸)11.6〜107.2
DHA (ドコサヘキサエン酸)48.6〜152.4
EPA/AA比 0.11〜0.50
・EPA/AA比の減少する疾患
心筋梗塞などの血栓性疾患
・EPA/AA比の上昇する疾患(イヌイットの疫学調査により報告されている)
出血性疾患