NT-proBNPの測定値と慢性心不全の診断指標
NT-proBNPは心不全の診断・モニタリングにおいて、BNPと同等の臨床的有用性を有し、より鋭敏に心腎機能を反映します。また、NT-proBNPとNYHA分類およびACC/AHA慢性心不全の評価には相関がみられ、心機能による患者さんの層別化をより確実に行うことが可能です。
正常群(NT-proBNP:〜55pg/ml)心疾患の疑いなし
定期的な健診により、生活習慣病を予防していくことが重要。
高リスク群(NT-proBNP:55〜125pg/ml)心負荷あり。高血圧などの生活習慣病の疑い。早期の予防・改善が必要。ステージA
無症候群1(NT-proBNP:125〜500pg/ml)心疾患の疑い。生活習慣病および/もしくは心不全を含む心臓病の疑い。早期予防・改善に加え、経過観察が必要。ステージB NYHAT度
無症候群2(NT-proBNP:500〜1,000pg/m)心不全を含む心臓病の疑い。心機能のチェックを行い、適切な治療が必要。ステージB NYHAT度
有症候群1(NT-proBNP:1,000〜4,000pg/ml)心不全を含む心臓病の疑い。専門医への紹介が必要とされる。ステージC NYHAU度
有症候群2(NT-proBNP:4,000〜8,000pg/ml)心不全を含む心臓病。専門医にすぐ紹介の上、精査・治療が必要。ステージC NYHAV度
治療抵抗群(NT-proBNP:8,000pg/ml〜)心不全を含む重篤な心臓病。緊急の入院ならびに即時の治療が必要。ステージD NYHAW度
・ACC/AHA慢性心不全の評価および管理ガイドライン
【ステージA】器質的心疾患なし、心不全なし(心不全発症のハイリスク):高血圧治療・禁煙・高脂血症治療・運動・禁酒・特定の患者(動脈硬化性血管疾患、糖尿病、高血圧)にはACE阻害薬/ARB
【ステージB】無症候群、器質的心疾患あり、心不全症状なし、早期心不全:β遮断薬・ACE阻害薬・ARB
【ステージC】心不全有症候群、既知の構造的心疾患、息切れ、易疲労感、運動能力低下:塩分制限・薬剤(利尿薬、ACE阻害薬、β遮断薬、ジキタリス、ARB)
【ステージD】治療抵抗群、末期心不全:補助循環・心臓移植・強心薬持続静注・ホスピスケア
※ACC:米国心臓学会 AHA:米国心臓協会
・主な経口心不全治療薬
ACE阻害薬:エナラブリル、リシノブリル
ARB:カンデサルタン
β遮断薬:カルベジロール
利尿薬:フロセミド、スピロノラクトン
ジキタリス製剤:ジゴキシン
経口強心薬:ピモベンタン