抗リン脂質抗体症候群 APS - 抗リン脂質抗体症候群はループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体などの抗リン脂質抗体の出現が認められ、動静脈血栓症、習慣流産、胎児死亡などの特徴的な臨床症状を呈する自己免疫性疾患です。

抗リン脂質抗体症候群 APS

抗リン脂質抗体症候群(Antiphosphlipid syndrome:APS)は、ループスアンチコアグラント(LA)抗カルジオリピン抗体などの抗リン脂質抗体の出現が認められ、動静脈血栓症、習慣流産、胎児死亡などの特徴的な臨床症状を呈する自己免疫性疾患です。
SLEなどの膠原病に合併して起こるものを二次性APS、他の膠原病を合併しないものを原発性APSと呼んでいます。また近年、急速に多発性の血栓を生じ、腎機能障害、中枢神経障害により予後不良となる劇症型抗リン脂質症候群が注目されています。

臨床的特徴
1)動静脈血栓症
・末梢血管・皮膚(四肢壊疽、皮膚潰瘍、網状皮斑爪床出血)
・肺(肺梗塞、肺高血圧症)
・肝・脾臓(肝動脈血栓、Budd-Chiari症候群、NRH)
・心臓(心筋梗塞)
・腎臓(腎動脈血栓、腎静脈血栓、微小血管性糸球体炎)
・消化管(腸間膜動脈血栓症)
2)習慣流産・胎児死亡、網膜病変、視神経病変 など

関連自己抗体
抗カルジオリピン抗体:APSで高率に検出
・ループスアンチコアグラント(LA):APSで高率に検出
・抗プロトロンビン抗体:LAの責任抗体といわれているAPS、SLEに特異的との報告がある
抗β2グリコプロテイン1抗体(aβ2GP1):APSの血栓症状と強く関連しており、特にループスアンチコアグラント活性を有するaβ2GP1は血栓症と極めて強く相関する自己抗体。LAの責任抗体のひとつと考えられている。

<抗リン脂質抗体症候群分類基準>
少なくとも1つの臨床所見と検査所見が確認できた場合を抗リン脂質抗体症候群と判断する。
1)臨床所見
・血栓症:画像検査や病理検査で確認できる1以上の動脈または静脈血栓症(血管の大小や発生場所は問わないが、血管炎によるものは除外する)
・妊娠合併症
a)1回以上の妊娠10週以降の説明できない胎児死亡
b)1回以上の妊娠中毒症や胎盤不全などによる34週未満の早産
c)3回以上の妊娠10週未満の自然流産

2)検査所見
・ループスアンチコアグラント(LA)が少なくとも12週間はなれて2回以上検出されること(LAの測定は国際血栓止血学会のガイドラインに従う)
・中等度以上(40GPLまたは40MPL以上あるいはコントロールの99パーセンタイル)のIgGまたはIgMクラス抗カルジオリピン抗体が12週間以上はなれて2回以上検出されること
・中等度以上(コントロールの99パーセンタイル以上)のIgGまたはIgMクラス抗β2GP1抗体が12週間以上はなれて2回以上検出されること

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