頸部の筋肉は皮下頸筋・外側頸筋・前頸筋・後頸筋に大別できます。皮下頸筋としては広頸筋があります。頸部の外側面の皮下にある薄い皮筋で、顔面神経に支配されます。
外側頸筋には、広頸筋の下で筋膜に包まれた胸鎖乳突筋があります。胸鎖乳突筋は、2頭で胸骨の上端と鎖骨の内側側から外側頸部を後上方に向かって頭骨の乳様突起を結ぶ強大な二頭筋です。
頭を前に下げる時には両側の胸鎖乳突筋がは働きます。また胸鎖乳突筋が1側のみ働くと(左側の胸鎖乳突筋だけが働くと)顔が右側を向きます。
胸鎖乳突筋の左右の始まる部分の間で胸骨の上にある窪みを頸窩と呼び、その内部深くに気管に触れることができます。
胸鎖乳突筋は副神経と頸神経叢の枝に支配されます。
前頸筋群は全て舌骨と関係あるので舌骨筋ともいわれます。舌骨の上方にあるものを舌骨上筋、下方にあるものを舌骨下筋といいます。舌骨上筋は舌骨と頭蓋との間にある筋肉群で、舌骨を上げたり、固定させて下顎を引き下げたりして、開口運動を行うときに働く筋群です。この舌骨上筋には、顎二腹筋・茎突舌骨筋・顎舌骨筋・頤舌骨筋の4種類があります。