食物が口内に入ると反射的に唾液腺からの唾液分泌が盛んになり、消化作用が活発になります。
口腔線は唾液を分泌する腺なので唾液腺とも言います。小さな口腔線(小唾液腺)は口腔内の粘膜のいたるところにありますが、大きな口腔線(大唾液腺)は粘膜から離れて存在し、導管(排出管)で口腔に通じています。大唾液腺には、耳下腺・顎下腺・舌下腺の3対があります。
耳下腺は、唾液腺のなかで最大のもので、外耳の前から下方にかけて広がり、皮下にあります。その導管(耳下腺管)は、口腔前庭の後部で上顎第二大臼歯に向かい合った頬の粘膜の耳下腺乳頭の上に開口します。漿液性の粘性の少ない唾液を分泌します。
顎下腺は、下顎骨の下縁の内側、顎下三角に位置する唾液腺です。その導管(顎下腺管)は1本で、舌下小丘の舌下唾液乳頭として開口します。
舌下腺は、口腔低の粘膜下にあります。その導管は多数あって、一番前の1本の大舌下腺管は顎下腺とともに舌下小丘に開口し、その他の約40本の小舌下腺管は並んで舌下壁に開口します。
唾液腺は、耳下腺のように漿液性のさらっとした分泌液を出すものと、粘液性の分泌物を出すものとがあります。漿液性の分泌物は酵素に富み、粘性の高い分泌物は粘液素に富んでいます。耳下腺は純漿液性ですが、顎下腺と舌下腺は混合性(漿液性と粘液性が混在)です。
唾液の中の消化酵素はデンプン分解酵素で、デンプン、グリコーゲンを主に麦芽糖ととデキストリンに加水分解するはたらきがあります。唾液は特別な刺激が与えられなくても、常に少量の分泌がみられますが、その分泌は食物を摂取すると盛んになります。それは口腔粘膜の物理的および化学的刺激により延髄にある中枢を介して反射的に行われるからです。
唾液の作用でもう一つ重要なことは、口腔と歯を細菌などから守るために、食物屑を洗い流して清浄化に役立っていることです。