尿生成と体液浸透圧調節のしくみ

血液は腎小体を通って濾過され、老廃物は尿細管を通過中に一部が再吸収されます。腎臓を構成する主要成分は、腎小体(マルピギー小体)とそれに続く尿細管です。尿細管は集まって集合管になります。1本の腎小体とそれに続く1本の尿細管とを合わせて腎単位(ネフロン)といい、ネフロンは尿生成の機能的単位とされ、1個の腎臓の中に、その数はおよそ100万個あります。腎臓はっこのネフロンの集合体、腎小体は毛細動脈がつくる糸球体と、これを包む単層扁平上皮からなる糸球体嚢(ボーマン嚢)からできていて、腎臓の皮質中に存在します。
腎小体

血液が糸球体の毛細血管網を流れる間に、血球・血小板およびタンパク質を除いた液体成分が糸球体嚢の中に濾過されます。左右の腎臓を合わせて1分間に0.8〜1.0Lの血液(腎血流量)が流れます。糸球体嚢に濾過された液体が原尿で、これが尿細管の中を流れますが、その一部は尿細管を通過する間に、血液の性状を一定に保つのに必要なだけの水・アミノ酸・ブドウ糖などの物質が尿細管を取り巻く毛細血管網内の血流に吸収されます。これを尿細管の再吸収といいます。そして残ったものだけが尿として集合管から腎盂に排出されます。水は濾過された液の99%が再吸収され、アミノ酸やブドウ糖はすべて再吸収され尿中には排出されません。
下垂体後葉から神経分泌によって内分泌されるバソプレシンは利尿抑制ホルモンと呼ばれます。このホルモンの主な作用は、尿細管における水の再吸収を促進し尿量を減少させる働きです。バソプレシンは血管の平滑筋を収縮させて血圧を上昇させる働きがありますが、主な作用は体液の浸透圧調節にあります。体液の浸透圧は摂取した水とナトリウムイオンの量によって均衡が保たれています。体液の浸透圧の変化は主として水の出入によることが多く、利尿抑制ホルモンの作用で水に対する透過性が変化することによって調節されます。

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このページは、が2021年8月22日 23:55に書いたブログ記事です。

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