ホルモンを作り血管・リンパ管に送り出す内分泌腺

内分泌腺とは、特殊な化学物質を作り出し、これを導管によらず直接血管やリンパ管にその物質を分泌する器官のことです。その化学物質が体内を循環する場合に、微量でも特異な生理作用をもち、ある器官または組織の機能に影響を与える物質を内分泌物またはホルモンといいます。ホルモンは欠乏や過剰によって特有の症状が現れる点でビタミンと似ていますが、生体内で作り出されるため、体外から摂取しなければならないビタミンと区別されます。
内分泌腺をもつ主な器官には、甲状腺・上皮小体・下垂体・松果体・副腎(または腎上体)・胸腺・膵臓ランゲルハンス島・精巣(または睾丸)・卵巣などがあります。
ホルモンの働きに最初に気付いたのはドイツの生理学者ベルトイドです。1849年、ニワトリの精巣からある物質が血液中に出て微妙な働きをしていると報告しましたが、当時の学会から注目されませんでした。1889年にはパリ大学生理学教授ブラウン・セカールがイヌの精巣の抽出物を72歳の自分に皮下注射して、若返りにきわめて有効であったと発表します。この報告に刺激されてホルモンの研究は急に活発となり、1901年にはニューヨークで研究していた日本の応用科学者の高峰譲吉はウシの副腎から有効成分を結晶として抽出し、アドレナリンと命名しました。これはホルモンを結晶として得た世界最初の研究です。1905年、イギリスの生理学者スターリングとベーリスは、これらの化学物質に「ホルモン」という語を使うことを提唱します。「ホルモン」とはギリシア語のホルマオー(hormao:刺激する、興奮させるの意)に由来します。

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このページは、が2021年2月22日 17:44に書いたブログ記事です。

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